ラケット以上に重要なシューズを紹介します

一番重要なコートサーフェスのお話です
正直、ラケットが合う合わないはかなりレベルの高い判断が求められますが
シューズは、テニスの上手い下手にかかわらずいい悪いの答えが出ます!

砂入り人工芝コート
(通称オムニコート)

国内に最も普及
○少々の雨でも使用可
○クッションに優れる
○ラリーは続けやすい
○ボールの摩耗は少ない
×球足はひどく遅い
×実は捻挫率は高い
×海外にはほぼ存在しない
×海外のプロは毛嫌いする
×7 10年ほどで張り替えが必要
×日本選手が海外に通用しない原因とも?
クレイコート(黄色)
(土のコート)

中学、高校の大半がコレ
○スライドというテクが使える
○造成には最も安価
○晴天でも照り返しは少ない
○足や膝へのダメージは少ない
×手入れが悪いと凸凹が出来る
×イレギュラーに悩まされる
×荒木田土でも無い限り雨に弱い
×靴、ソックスが汚れる
×水まきをしないと、土埃が舞う
※旧来のコート

ハードコート
(アスファルト等にコーティング)


○海外では大半がコレ
○ボールスピードはクレイコートよりは速い
○イレギュラーはほぼない
○滑りにくくキュッキュッと音が鳴る
○維持管理費は最も低額
○実は怪我は少ない
×クレイコートよりは造成が高額
×雨天で滑りやすい
×シューズやボールの摩耗は早い
※固いと思われてるが、クッションのあるものも
※欠点を見直した進化形の素材も現る
※日本テニス協会は今はこのコートを推し

カーペットコート
(室内型)

足や腰への負担が少なく転んでもけがをしにくい
○インドアコートの大半がコレ
×引っかかる靴だと捻挫しやすい
×ボールのフェルトが床に潜り込み、舞いやすい
×球足は速く、低くバウンドするため
×慣れないとやや難易度は高い

希少で特殊なコート
クレイコート(赤土)
アンツーカー(レンガを砕いた粉)


※全仏オープン会場のコート
○日本の黄色いクレーよりは排水良し
×定期的に水まきが必要
×粒子が細かいため、汚れが繊維に入り込む
 
芝生コート
別名ローンコート

※全英オープンのコート
×手入れが大変
×最も球足が速く
×コートコンディションが変化

シューズの選び方を、重要な順から説明します。

先ず上図のサーフェスの特徴をご覧下さい。

1 使用されるコートの種類(サーフェス)にあわせます

画像はasicsから
「オールコート用」...よく全てのコートに使える万能なソールと比喩されるが
ハード用にもそこそこ使え、オムニコートには専用シューズ程には止まれない中途半端な特性のシューズ。
ただ、1度でもオムニコートでたまった砂に脚を引っかけ内反捻挫などを経験すると
オムニ専用シューズの止まり感が怖くなり、オールラウンドシューズに変更するプレイヤーも少数存在します。僕の経験上では、オムニコートでワイドに打たれて外に出されたときの最初の1,2歩は専用シューズに比べコートをかく力はさすがに弱いかなと感じます。
フットワークでスライドを多用するプレイヤーの中には、その滑りを目的にあえてオールラウンドシューズを選ぶ全日本選手もいらっしゃいますが、間違いなく体力はロスします。
基本、国際規模の大会はハードコートで開催されることが多いのであまり使わないオムニ専用シューズは手にしないというだけなのかもしれません。
ビギナーや脚力の無いジュニアに関しては、オールコートのソールでもさほど問題は無いでしょう。
「オムニコート用」...オムニ・クレーコート用シューズ。
現在、完全なオムニコート専用シューズは存在しません。
本来、住友ゴムが開発したサーフェスのみをオムニコートと呼ぶのですが砂入り人工芝コートでは余りに認知が薄いので、ここではそのままオムニコートと呼ばせてもらいます。
1982年に日本に初導入されてから2023年で既に40年が経ちますが、人工芝で砂を保持する特徴があるため、砂の入り方と手入れにより滑りやすいオムニと、引っかかるオムニの2傾向が生まれます。また、誰かが足でストップをかけるために踏ん張ると、そこに砂の塊が生まれ、そこに足を引っかけると内反捻挫の危険性が時にはあります。
止まりやすいシューズかどうかを見極めるのは主に突起(スタッド)の深さと数で左右されますが、最適な突起の角度(向き)や配置によっても変わるので見た目だけでは完全には判断しにくいです。
そのため、一概にこのソールパターンがいいとは言い難く、コートのコンディションによりストップ性の強いソールパターンか、やや滑らすことのできるパターンかを選択するのが賢いです。
基本は、雪道を走るときにスタッドレスタイヤを選択するが如く、滑りやすいオムニコートでは、芝をかきわけ砂をつかむオムニコート用かオムニ・クレー用シューズを履くことを薦めます。
もともとが需要のない海外製シューズより、オムニ需要の多い国産シューズの方がオムニコートを熟知し、開発費もかけているのは誰にでも想像できることと思われます。
中でも日本で一番最初にオムニ用シューズを発売したasicsのソールの進化具合は凄まじく、ストップ性とスライド性のバランスに優れ、怪我をさせないソールを提供する第1メーカーと考えます。海外製のオムニ用と謳うものは、少々ソールに点数が削がれても、足入れやフィット性、機能性などで挽回するシューズとお考えください。
 
「クレー・オムニコート用」...クレーとオムニコート兼用シューズ。
クレーコートで普段練習し、試合は公営のオムニコートでというパターンの部活学生さんが一番狙うべきシューズ。特性はオムニ用と似ていますが、突起(ドット)は少なめ。
砂が大量に入れられたオムニコートにはこちらの方がストップ性は期待できます。
地表の砂をかきわけ土の地面をつかむために細いパターンが深めに刻まれている。
砂の抜け道を減らすために、俗にジグザグに波打つヘリンボーンパターンが代表されます。

上記以外のシューズ

「カーペット用」...インドアのテニスクラブによく使われるサーフェス用のシューズ。
抵抗を減らすため底がフラットが特徴
 
 
 
カーペットは絨毯のような凸凹のあるコートなので、そもそもが引っかかる。
そのため、下手にソールに溝のあるシューズでプレイすると引っかかって怪我をする危険性が存在します。ごらんのようにツルツルです。近年、インドアコートの中にはカーペット用のシューズ以外を認めないクラブも出てきています。
他のサーフェスは専用でなくてもなんとか使用できますが、カーペットコートに関しては専用シューズを履くのが望ましいです。
 
「ハードコート用」...ハードコート専用シューズ。
昔、asicsにハード専用のシリーズがあったのに、今や絶滅。ADIDASやNIKEにハードコートシリーズがあるが、それはいわゆるオールラウンドの領域を出ません。
米国のTennis Warehouseのサイトを覗いても、フラットソールは見つかりませんでした。過去にハード用と言うとこんなソールが普通にありました。
上の画像はPRINCEの2022年モデルには存在した、ハード&カーペットというモデル。
タイヤで言うところのノン・スリック溝無しパターンであります。
ハードコートは固めで摩擦係数も大きいので、引っかからないことに特化してソールを作ってあります。
そのため、これほど割り切ってハードコートに特化したソールはもう入手できない現状です。
 

2 自分の足形を把握し、相性のいい物を

ソールにこだわって頂いた後は、同じくらい大事な足型、フィット性の話です。
標準の足形ではない、幅広や幅がスリム、外反母趾などの足の持ち主は
ソール選択の次は、これにこだわって欲しいです。
シューズにはウイズ(足囲)という規格があり、革靴にも存在するE,2E,2.5E,3E,4Eなどという足のボリュームを表示しています。(asics社は公表していません)
これを間違うと、痛い又はきつすぎる、緩すぎるシューズを選んでしまいますから
店員さんのアドバイスに従い、実際に店頭で履いてみることをお薦めします。
上の画像のように、合わせの形状で大体の相性が判断できます。
ウイズは足幅だけでなく、甲の高さにも左右されます。
という意味では、ネットで購入は火傷の元です。以前A社のシューズを履いていたから
次もそこのシューズの同サイズが安心という考えは危険です。
ましてや、後に紹介する素材がPU(樹脂)製のシューズの場合、昔の人工皮革のシューズのようにはなじみは期待できませんから、そこは慎重に時間をかけて試し履きをしてみてください。
足囲と並び大切なのは、足の長さです。
サイズを選ばれるときのお薦めの来店時間は
起床後6時間以上、又はランニングやテニスプレイ後
理由は足がむくみきってから、ご来店頂きたいのです。
基本、テニスソックスをご持参でお越し下さい。忘れたときは店内に用意がございます。ただし、それでのフィッティングはご自分のソックスを履かれた結果とは変わります。
 
下にシューズの履き方を動画でアップします。
サイズの選び方(テニスソックスを履いた上で)
履いてからシューズの踵を床に2,3回叩き
かかとがキッチリ納まった状態で履いて、靴紐を適度に締めてから立ち上がり、体重をかけて様子を見ます。指先の前に1cmの余裕が欲しいです。可能なら少し歩き回りましょう。
シューズの先端に指を横にしてぐっと押せる隙間が欲しいです。
わからなければ、インソールを引き抜き、床に置いて上から足を乗せると余裕が見れます。
(ただし、これは使用前の新品インソールに限った話です)
同時に足の指先が少しは自由に動かせるかも試して下さい。
部分的な当たりがないかもチェックして下さい。
 
足幅の広いシューズをお探しの方に
足幅が6Eの僕が断言します。
調査の結果、日本人の中に4Eの割合は10%も存在せず、大半は2Eの規格内だそうです。
普段、足に対しゆるめなシューズを選んでいるために自分は4Eだと思い込んでいるだけです。
それが証拠に、4Eを販売したお客様に2ヶ月くらい後の来店時に「シューズどうでした?」と伺うとかなりの割合で、なじんできたら少し緩かったかもという答えが返ってきます。
テニスはスポーツです。サンダルみたいに足が楽なシューズを選ぼうとせず、周りからフィットして足をホールドするシューズを選ぶべきです。
メリットは、足が内部で緊張するために土踏まずもドテッと広がらず、持ち上がり
足のアーチが本来持つバネ性もUP。単に窮屈にするためにスリムなシューズが存在するわけでなく、ワイドに作らなかったのには理由があるのです。
サイドから支えないと足に緊張がなくなる
アーチが保持できないと、障害の原因となります。
安定感を求めるなら、あまりに幅広を選ぶのは考えましょう。

3 シューズのアッパー素材を吟味

シューズのアッパー素材は次の3つに大別されます
素材別に説明します
A)樹脂製アッパー
  • 各メーカーの上位クラスがこぞって採用
  • 足を支える能力は一番です
  • その代わり、やや重くなり
  • 夏は蒸れがちです
  • 足に当たるとなかなかそこはなじまない
B)布製アッパー
  • 何より軽量です
  • BABOLAT社は素材にケブラーを使って強化を図りますが
  • 樹脂製アッパーには支える力は一歩及びません
  • 通気性が良く、夏場は快適
C)人工皮革アッパー
  • 昔のシューズが良く採用した素材
  • ジュニア用や、各社の廉価版に採用される素材
  • 上記のA,Bに比べ性能は劣ります。
  • なじみは出やすいがその分ホールド力に劣る

以上の特性を考慮し、シューズ選びに励んで下さい。
 
僕の経験ですが、以前、女子連さんのイベントにお邪魔し
(参加されてる方の年齢は40〜50歳以上の方が多かったとお見受けします)
そこでYONEX社の最高級シューズ[ECLIPTION]と次に位置する「FUSIONREV」
の履き比べをやって頂きました。
結果、足に合う合わないはともかく試された全員が、安心して体重を預けられるのは
[ECLIPTION]と答えたことには驚きました。
 
それから、当店のシューズのラインナップを一新し、低価格のシューズは置かず
安心してプレイヤーのフットワークを支えられる1万円以上のシューズに在庫を変えたのです。
 
ですから、当店に¥6,000〜¥7,000の定価のシューズはありません。
間に合わせはともかく、怪我をせずにしっかりプレイできるシューズだけを扱いたいのです。
じゃあ低予算でハウディではシューズは買えないのか?
いいえ、廃番品はすごくリーズナブルな価格で購入できますのでご安心を。
 
左のサイドメニューから特価シューズをご覧下さい。

その4 衝撃吸収性は人の好き好き

下の画像はYONEX社のPOWER CUSSIONの説明です
インソールに使われた素材で落とした卵が割れないどころか、反発するという
すごい素材です。足に優しいフワフワなシューズを求めるのであれば
YONEX、BABOLATなんて固いコートが見違えるように優しく踏めます。
ただ、フワフワが何より一番大切かどうかは
プレイヤーの求めるテニスにより変わります。
もし、ダッシュをするとき、アスファルトと海の砂地で走ってみたら
どちらが早いタイムを出せるでしょう。
asicsやWilsonはクッションより、気持ち固めであってもグラつかず、
体幹をキープできることの方が、いいボールが打てるという理念に基づいています。
どちらがいいというよりここは好みで選びましょう。
 
また、使われるサーフェスによっても衝撃吸収性の要件は変わります。
あまりクッション性のない固いハードコートでプレイするなら
衝撃吸収性は少しは期待した方がいいでしょう。
反対に、オムニコートやクレイコートであるなら、サーフェス自体にクッション性があるので、シューズにはさほどの衝撃吸収性は求めなくても良いと思われます
 
蛇足ですが、トップクラスの選手は柔らかいミッドソールより固めなミッドソールを希望する例が高いです。
ご自分のシューズのクッション性を積極的に変更したい場合は
交換用の市販のインソールに変更をお薦めします。

究極のフィット性を求めるなら
インナーソックス構造、(インソック構造)のシューズを薦めます。
代表はasicsの最高峰SPEED FF3をご覧下さい。こちらはモノソック構造と呼びます。
シュータン(ベロ)と足首部が一体のため、フィット性は抜群
靴紐締めずとも、軽く走れます。でもとても履きづらいです
立ったままではこうとすると、足がつるような恐れもあります。
asics SPEED FF3
他社にもここまでがっつりではないですが
シュータンの一体化を図った例があります
babolat PROPULSE FURY
 
簡単に脱ぎ履きを求める方には全く、逆の機構ですが
締めると足と一体化するこのシューズのシステムは価値ありです!

6 重さにこだわりますか?

手で持ってみると、シューズの中に重さの違いがかなりあることに気づくでしょう。
重いシューズの特性
  • なぜ重くなったかはしっかり作り込んだからです
  • 靴底のラバーを分厚く作ったから重いのです
  • ソールの耐久製を求めるなら、重いシューズは受け入れるべきです
  • ハードなフットワークに耐えようと作り込むと重くなることを認めましょう
  • ※asicsのGEL RESOLUTIONは重いですが、それはワイドに振られたボールに
  •  追いつくストローカーのフットワークに答える作りをしたとのこと
 
軽いシューズの特性
  • 疲れず快適を求める方へ
  • 軽いと言うことはサポート力はやや劣ると理解しましょう
  • ソールの耐久製もやや劣ります
  • ※asicsのSOLUTION SPEEDは軽く、機動性と俊敏な対応力を求めました。
  • サービス&ボレーを展開するダブルスプレイヤーなどには好評です
  • ある選手が、これを履いたとき、これならどんなドロップボールも対応できると
  • 評価していました。

 
ずっと走り込むマラソンシューズとは違い、足は重さにそんな敏感ではありません。
重さにこだわる前に、どんなプレイをしたいかに応じて選ぶのはいかがでしょう?
ビギナーや、そんな急激なストップ&ダッシュをしないご年配なら
反対に軽量化シューズで快適にという案には賛成です。

 

7 お好みのメーカーはありますか?

これはプレイヤ-の好みですので、デザインで惚れたとか、○○選手が履いてるからと言う理由でメーカーを絞り込むのも自由ですが、やはりその前に
ソールがサーフェスに十分な機能を有するかと
試しはきをして足形との相性は優先して選んで頂きたいです。
 
簡単にくくれば
外国生まれのメーカー
ADIDAS、Wilson、NIKE、K・SWISSはたまにあるワイドモデルをのぞきスリムな足形
YONEX、NEW BALANCE、MIZUNOは比較的広め
BABOLATは2023モデルからさらにアジア系向けに足形を楽に(JETシリーズを除き)
なんと国産のasicsは,ワイドモデルを除き大半が2.5Eよりスリムです
 

8 耐久製は重要ですか?

これは重さのチャプターで述べたことの繰り返しになりますが
そもそも耐久製を重視するのは、ビギナーやご年配には必要の無いことです。
フットワークが凄まじい、ハードな足さばきをする現役プレイヤーか
年中コートに立つ職業コーチだけが求める要件と思われます。
 
やはり、答えもシンプルです。
持ったときに、いかにもズッシリしたソールの分厚そうな
シューズを入手しましょう。選手用で開発されたシューズだけが
ソールの耐久製と、つま先や各部の補強でその思いに応えてくれます
その分値段も張りますが...。
asicsのGEL RESOLUTIONやYONEXのECLIPSIONなどがお薦めです。

9 その色とデザイン好みですか?

ここからは、僕が話すことはありません。
それはあなたの感性の見せ所だからです。
昔は、テニスウエアが白全盛だった時代、シューズも皆白でした。
今や、白いシューズを見つける方が難しい時代...
ウエアに合わすのも、ラケットに合わせるのもお好みでどうぞ!
 
でもちょっとだけ話していいですか?
夏は暑いので、よほど優れた素材でない限り黒系の靴は暑いです。

  • 素材も樹脂より布ぽい又はメッシュ系の方が蒸れに関しては快適です。

冬は寒いので、白っぽいより反対に黒とかダークな色が暖かい。

  • 夏と違って通気性の悪いシューズぐらいの方が最初はいいですが
  • やはり動き回ると冬でも蒸れは感じますね。

まとめ

全ての人にいいシューズなんてあり得ません。足形も十人十色です。
多数のメーカーが存在するのですから、ソールが問題なくて足形がいいと思えたなら
色んなメーカーもはいてみましょう。
でもラケットは、少々相性に難ありでもだましだましテニスはできちゃいますが、シューズはそんなわけにいきません。
テニスのキャリア、上手い下手にかかわらず、シューズは誰でも評論家になれます。足が訴えますから、ごまかして履けない物なのです。
安定性と、快適性のバランスは人により求めるバランス配分に差があります。
怪我をしないよう、パフォーマンスを発揮できるようシューズも
気合いを入れて、正しい知識の元に選びましょう。
ハウディでは多数のシューズを揃えてご来店をお持ち申し上げます。