ハウディのストリンギング(張り替え作業)とは?
なにも特別なことはやっておりません。細かな心配りと、丁寧な作業。そして、以下にあることを極力キープしようとしているだけです
1 ラケットを極力原型通りに張る
- これは、原型であることが一番性能を発揮するからです
2 結び目がゆるまないよう注意する
- テンションを下げる一つの原因だからです.
- グロメットが大きいとか広がっている場合には結び方で対処します。
3 ストリングス一本ごとのテンションにバラツキがない
引き渡し時間について
よく「何日に張り上がりますか?」と初めてのお客様には質問されます。しかし、待って下さいね。あなたが預けようとしているのはご自分の大切なラケットです。ストリングスあるいはガットが生もので、時間と共にテンションが、そして弾性が失われていくことをわかっていただけたなら、こんな店任せの引き渡しは避けるべきです。
ハウディでは、「いつテニスをなさいますか?」または「いつ取りにいらっしゃいますか」と反対にお客様に質問させていただきます。
全日本の選手達が、夕暮れの中、ラケットを預けながら「明日の○ラウンドまでに張って下さい。お願いですから 今日は張らないで下さいね」と懇願して帰って行くんです。
あなたの技術が、全日本並みでなくてもいいじゃありませんか。張り立てを使う方がずっと気持ち良く、あなたのプレイを支えてくれるんですから。気分は一流、これですよ(^_^)
ですから、ハウディでは時間配分をきっちりコントロールし、間に合わない場合を除き、基本的に当日張りのみをお渡しするようにしています。
張り方について(※訂正しました)
究極の議題ですね。TOP DOWN....トップ部から張った方がいいのか。BOTTOM UP...下部から張った方がいいのか、この答えは結論を出せません。ラケットによりまた使用する張り機の癖、性能により様々に適応させなければ原型に戻すことは、到底不可能だからです。
結論を言いますと、ハウディではBabolatの下終わりのフレームでさえもTOP DOWNで張って行きます。これは、当初、私がバトミントンラケットの張り上げをかなりの本数こなしたことと、昔メーカー様の歪み計測定をさせてもらいながら、いろいろなパターンで張り替えたことにより導き出した結論です。
でも、その概念が当てはまらないフレームが次々に登場してきますから、結局は一つ一つのフレームに対応していかなければなりません。上から張ったり、下から張ったり、途中でARAUND THE WORLDで、回してみたりと。HEADさんのフレームはそういう意味で我々ストリンガーにとってはチャレンジしがいのある、言い換えれば原型に張り上げるのがかなり難しいラケットを提供してくれます。
思うんですが、ストリンギングって仕事は、単調な作業の繰り返しでもありますげれど、同時に新しい発見と創造の繰り返しです。
新しいフレームを始めて張るときは、軽い緊張とどうなるだろうという期待に包まれます。
だから、やっぱり専門店は 張り上げを数こなすから自然上手くならなきゃいけないんですね。量販店さんのようにいろいろな方が張る場合に比べて、自然色々なノウハウを学べるのはこれ必然でした。
二本張り?一本張り?
絶対に二本張りしかできないハイブリッドをのぞき ハウディでは一本張りをメインに作業します。その理由は、一本張りは二本張りにくらべて、結び目が二個少ないからです。
結び目は、テンションを落とすのに一番イタズラをしてくれます。例えば、50ポンドでせっかく張った
ストリングも、結びで15ポンドは緩みます。たった1〜2mmグロメットホールに引き込まれるだけなのにです。
結び方一つで、ストリンガーの能力もある程度判断されちゃうんですから。世界の選手も、基本は一本張りです。
例外があります。どこ当たるかわからないってレベルのプレイヤーの場合なんですが、これはあえて二本張りすすめます。
クロスも、膨らまない範囲でテンション落としたりしちゃいます。
打球感が手に優しいラケットになりますよ。または、スィートエリアが気持ち広がったような感覚もゲットできます。緩むの早めですけどね。
クロスのテンションについて
よく、クロス(横糸です)は何ポンド落としてなどと言ったリクエストがあります。なるほど、世界の選手の中にはいろいろなプレイヤーがいて、クロスを上げてみたり、下げてみたり。でも、どこのお店でもどんな張り機にでも通じる手法ではないんです。左欄の張り方についてで申し上げたように、張り機が違えば、クロスのテンションを落とすと横に膨らんじゃうです。ヘタすると、クロスのテンションを上げなければ原型に戻らない場合もあるんです。
くれぐれも、どこに張り替えを出すにしても、一律同じ張りにはならないことをプレイヤーもわかっていただき、原型重視である方ならそこを伝えて相談されるべきですね。その結果、少しでもクロスのテンションを変えたほうがいいと思うなら、その要望は尊重しますが。その前に、メイン(縦糸)のテンションを決めていくことが何より優先です。メインとクロスのテンションを変えてセッテイングを出すのは恐ろしく時間がかかる話ですから。
ちなみに最新の計測結果を申し上げますと、編み上げ抵抗でナイロンの場合約10%。ポリエステルの場合に約20%がテンションロスします。
マシンが正確になったため、以前よりはずいぶん引っ張れるようになりましたが、それでも、これだけテンションが落ちるのは馬鹿に出来ませんよね。